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ドアを開けるとそこはすでに楳図ワールド。星条旗をデザインのベースにしたお部屋に、懐かしの楳図漫画キャラクター達がてんこもりに並んでいる。 「最近、豆おかきに凝っているんですよ」という楳図さんおすすめの豆おかきと、自ら入れてくださったミントティーをまえにインタビューが始まった。 <楳図さんのお散歩ルートをめぐる謎> ―― まずは、楳図さんの散歩の謎というところからお聞きしたいと思います。本当によく吉祥寺を歩いてらっしゃいますよね。 私もよくすれちがうんですが、頭の中でなにか構想中のときに声をおかけするとまずいかな、と思って、いつもご挨拶もせずに失礼してます。 声をかける方もいますよ。大丈夫です。考えているときは、声をかけても耳にはいっていないですから。知り合いの方に声をかけられても気がつかずに、すいすい行っちゃって「楳図さんて近眼なんですか?」と聞かれるくらいですから。 ―― 目はいいんですか。 疲れてるときは視力も落ちてしまうんですが、体調が戻れば回復しますよ。もともと目はいいんです。あの細かい絵を描いてきて、ずっと眼鏡のお世話にならずに済んでます。 ―― すごい細かい描き込みですもんね。 話を元に戻しますが、吉祥寺に住んでいて、楳図さんとすれちがったことのない人は「モグリ」ということになっていまして。 吉祥寺に来て、僕に会わない人は吉祥寺にくる資格がないです(笑)。 僕が歩いてるのは吉祥寺だけじゃないんですよ。高尾あたりで会う人は僕が高尾に住んでると思うし、中野で会う人は僕が中野に住んでると思ってるし、もっと範囲が広いんです。 ―― 電車の中でお見かけしたという人もいます。 電車の中では、さすがにそこに住んでると思う人はいないでしょうけど(笑)。 僕は高尾にも家があるんで、高田馬場あたりから高尾、立川、国分寺あたりもよく行きますよ。よく電車を国分寺で降りて武蔵小金井まで歩くんで、そのあたりで会った人は僕がそのへんに住んでると思うでしょうね。 でも、吉祥寺が拠点なので、ここで僕と会う回数が一番多いはずです。 ―― お住まいもお仕事も吉祥寺が拠点なんですね。 ええ、ここが一番ぴったり。吉祥寺っていう場所がいいですよね。 ―― 吉祥寺のどういうところが気に入っているんですか? まず自然があるのと、それに街自体がへんにビジネス街っぽくないじゃないですか。店も個人の家でやっているという感じで。吉祥寺はサンフランシスコよりは、対岸のサウス・サリットの街並みたいなんですよね。 大都会の街なかじゃなくて、ちょっとおみやげ屋さんがあったりする、外れの観光地みたいで。 ―― そこはかとなく寂しさも漂ったりして。 だって吉祥寺は夜8時を過ぎるとお店が閉まって一気に寂しくなるじゃないですか。へたすると人影も、ま・ば・らという感じで。 ―― これまでインタービューしたなかで、吉祥寺をアメリカのどこかにたとえられたかたは、初めてなんですけれど、そのサウス・サリットにはよく行かれるんですか? いえ、一回だけですけど。実をいうと、サンフランシスコにも家をもっているんです。 ―― えっ? 高尾に家をお持ちで、吉祥寺にもあって… 吉祥寺には倉庫にしていあるところもあるんで2つですね。場所は内緒だけど。 家の数を自慢しても、しようがないんすけどね。別荘を一番最初に買って、役に立つかどうかわからないものから先に買ったんで。一番大事なのはここ、吉祥寺の家です。 最初に買ったのはサンフランシスコの別荘だったかな。いまは他の人に貸してます。 ―― アメリカがお好きなんですね。 いえ、アメリカなんかあまり好きじゃない、というところもあるんですよ。国旗のデザインとか、デザイン面では好きなんですけどね、アメリカ人の性格とか、あまり好きじゃないかもしれない。日本が一番好きです。 でも日本に住んでいると、日本じゃないところに目が向くじゃないですか。はたも気になるというか。 吉祥寺に住んでたら、ちょっと中野とか高円寺とか、阿佐谷の商店街を歩いてみたくなる。よその街を探検したいという気持ちが起きてしまうんですよね。 吉祥寺が一番好きなんだけれど、つい出かけてしまって、お台場とかにも行きます。 最近、今ふうの街って増えてますよね。お台場とか横浜のみなと・みらいとか、多摩センターとか。最近見つけたのは、東戸塚のモールです。僕は鎌倉によく行くんですけれど、その途中に「モール」って書いてあるでっかいビルがあるんです。あんなにでっかいと中はどうなっているんだろうと思って、行ってみると中がすごいんですよ。山の傾斜のところにあるんで、最初のデパートがあって坂があって、また次のデパートがあって、3つくらいつながっているんですね。 ―― 段々畑じゃなくて段々デパートですね。 それから、中央線でずっと行った塩津の駅で降りると、山の上まで、ちょうど「14歳」に出てくるようなドーム型の通路がななめにあってエスカレーターで上っていく。あれもなかなかのもんで、「これは探検しなければ」というので行ってきましたけどね。 ―― さっそく行かれたんですね。 ええ、もうとっくに。 >>> next |